ベースが小さい=音量を上げる、ではない|ミックスで本当の原因を見つける考え方
曲を作っていて、
「ベースが少し小さい気がする」
と感じたとします。
こんなとき、まずベースの音量を上げたくなるかもしれません。
でも、小さく聞こえる=音量が小さいとは限りません。
実際のレッスンで、まさにそんなことがありました。
「ベースが小さい」と感じたところからスタート
生徒さんのオリジナルトラックを聴いていたとき、Referenceと比べてベースが少し小さく感じました。
ここですぐに、
「ではベースのフェーダーを上げましょう」
とはしませんでした。
まず確認したかったのは、
本当に音量が小さいのか?
ということです。
そこで曲全体ではなく、ベースに注目してReferenceとAnalyzerで比較してみました。
すると、意外なことが分かりました。
音量には、それほど大きな差がなかったのです。
耳で感じた印象と、原因は同じとは限らない
ここがミックスの面白いところです。
耳では「小さい」と感じている。
でも実際に確認すると、単純な音量差ではない。
ということは、
別のところに「小さく感じる原因」があるかもしれない。
そこで、さらにReferenceとの違いを見ていきました。
すると、ベースの倍音成分に違いがあることが分かってきました。
ここで初めて、
「音量を上げる」
ではなく、
「倍音の出方をもう少しReferenceに近づけてみよう」
という具体的な目的が見えてきます。
ミックスは、いきなり方法を選ばない
DTMを勉強していると、
「ベースを太くする方法」
「EQの使い方」
「コンプレッサーの設定」
「おすすめのプラグイン」
など、たくさんの情報が入ってきます。
もちろん、こうした知識も必要です。
でも実際の制作では、その前にやることがあります。
今、何が問題なのかを特定することです。
今回も、
ベースが小さく感じる↓本当に音量が小さいのか確認する↓Referenceと比較する↓別の違いを発見する↓何を変えるべきかが見えてくる
という順番で考えました。
原因が分かっていない状態で方法を選んでしまうと、EQやコンプを触っても、
「なんとなく良くなった気がする」
「でも本当にこれでいいのかな?」
となりやすくなります。
Referenceは「答え」ではなく、違いを見つけるために使う
Referenceを使う目的も同じです。
Referenceとまったく同じ音にすることが目的ではありません。
自分の曲と比較して、
「何が違うのか?」
を見つけるために使います。
耳で違和感を感じたら、比較してみる。
必要であればAnalyzerなども使って確認する。
そうすると「なんとなく違う」が、少しずつ具体的になっていきます。
作曲とミックスでは、考え方も少し違う
作曲には、センスや感性が大きく関わります。
どんなメロディにするのか。
どんな展開にするのか。
どんな世界観を作るのか。
そこには一つの正解がありません。
一方、ミックスには比較や数値によって検証できる部分がたくさんあります。
もちろん最後に判断するのは耳です。
でも、
「なんとなく小さい」
「なんとなく抜けない」
「なんとなくReferenceと違う」
で終わらせず、その違いを一つずつ確認していくことができます。
大切なのは「方法」より先に「原因」を見つけること
ミックスで迷ったとき、
「どのプラグインを使えばいいんだろう?」
と考える前に、一度こう考えてみてください。
「自分は今、何を変えたいんだろう?」
そして、その前に、
「なぜ、そう聞こえているんだろう?」
と考えてみる。
原因が見えてくると、次に何をすればいいのかも見えやすくなります。
DTMで身につけたいのは、プラグインの操作方法だけではありません。
自分の曲を聴き、違いを見つけ、次に何をするべきか判断できること。
それが、自分で曲を完成させる力につながっていきます。
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